追及した翌週の朝、
牟田口は自分を会議室へ呼び出した。
果たして牟田口はどう出るか・・・
牟田口:高長さん。今回の件は本当に申し訳なかった。オレの勘違いで君に全てやらせて、脇坂課長へ向けて処理をやらせたこと上司として本当に申し訳なかったと思ってます。
高長:・・・
牟田口:本当に申し訳なかった・・・
高長:はい
牟田口:・・・
今までにないレベルで口調もゆっくりで文章も丁寧。上司がここまで“反省”し謝ってアタマを下げてくれることなどないだろう。勘違いが起こしたもの感情的になってしまったことを深く反省している。それは伝わった。
この休みの間にどう話そうか考えたのだろう。だから文章は丁寧だったのだ。また挑発にも乗らないよう気を付けいてたと思われる。
追及された時のことを思い出し説得ではムリと考え、反論しないことにしたと思われる。一個反論すると倍になって返ってきたからだ。当然だろう普段は人に対して上司に対して自分はこんな口の利き方をしない。全リミットを外しているのだから。また外させたその人間性の低さは心から反省した方が良い。
牟田口:で給与計算なんだけどオレからの折衷案としてデータを取るとこまではきみにやって欲しい
高長:・・・(そうきたか)
牟田口:データを取ったあとはこっちでやっていくから
高長:・・・(これだけ冷静に案を出してきているところに対して全くやりませんは話が通しにくい)
高長:話が戻るんですけど
牟田口:いいよ
高長:ミスが起こった時に誰が悪いとか言っている場合じゃないと思うんですよ。一番迷惑掛かっている従業員のことを考えないといけないと思うんですよ。どう対応するかが一番大事で ←これ上司に言わないといけないこと?(笑)
牟田口:そうだねそうだね
高長:で牟田口さんが真っ先に(高長が悪い)という対応をしたのが引っかかってて…
牟田口:そこはほんと申し訳なかったと思ってな
高長:・・・
牟田口:・・・
高長:(挑発乗ってこないな)
高長:それとボクが人に伝播するから組織が回らないとおっしゃられてたのも引っ掛かってまして・・・
牟田口:いやあそんなことはないんよ(笑)そこは大丈夫だから
牟田口さんは凄い反省されている。部下に対して非礼を詫び謝罪をしてくれる上司の鏡…
今までにないほど深く反省をしていることに対しあることを自分は感じた。
まるで旧日本軍の将校のようだなと。
戦場で大ピンチになった。
しかも自分の采配ミスで。
なのに部下を置いて戦地から一目散に逃げ、
逃げた後はすぐさま大本営(役員)に自分の責任でないことを報告。
その間部下から支援(追及)の連絡を受けても物資や兵隊を送らず
正当性のみを主張し続け、
その部下が“生きて帰って”来たら
反省するフリをし労う。
人間の本性というのは
・感情的になった時
・切羽詰まった時(ピンチの時)
に出るのだ。
感情的になった時切羽詰まった時だから対応が悪くなってもしょうがないと考えているので
次も感情的になった時切羽詰まった時に悪い対応をしてくるだろう。
実はこの謝罪の後が大事なのだ。
“本当に”心から自分が悪いと思っているなら
役員連中を含め全員に今回は自分のミスですと自白し部下の名誉を回復するべきであろう。
仮に部下にここまでする上司であったならば自分は反省しなければならない。牟田口の人間性は悪いものではなかったと。
結局牟田口がこの後したことは
・給与計算の再分担
のみだ。
結局は
・役員に話を漏れらしたくないのでここで先手を打って謝っておく
・楽に給与計算をしたい
というのに主眼が置かれた謝罪であったのだ。
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牟田口:で給与計算なんだけど最初君がデータ取ったあとの読み合わせは別の人とやろうと思っとんよ。まあ誰でもいいんだけど生田さんがいいね
高長:生田さんはその時期別の経理業務があって忙しいですよ
牟田口:まあ読むだけだしね。大月さんでも長田さんでもいいんよ
高長:生田さんは忙しいので大月さんがいいと思いますね
牟田口:分かったわーじゃあこれまで通りに仕事お願いしますね
高長:はい
今後の懸念事項は2点だ
・自分の給与計算業務への関与率
・誰をスケープゴートにするか
→よほど大月とやりたくないのだろうすぐに生田さんの名前を出してきた。これは要注意だ。
1点だけはプラスな点があった
形上は和解したように見えるので話を聞ける。自分の意見を言える点だ。
次回の給与計算が始まるまでに2週間この間例によって紆余曲折がある